神戸でJAZZバーを訪れてみたい、と思ったとき。多くの方が、すこしだけ躊躇するようです。「ドアの向こうがどんな雰囲気かわからない」「常連ばかりだったら気まずい」「JAZZのことをよく知らないと、肩身が狭いのではないか」——。私たちもよく耳にする、ごく自然な不安です。
けれど、結論からお伝えするなら。神戸のJAZZバーは、思っているよりずっと、初めての方に開かれた場所です。少なくとも、北野坂で六十年近くを過ごしてきた「さりげなく」という小さな店は、そのように在ろうと努めてきました。
JAZZを知らないままで、扉を開けてかまわない
JAZZバーに行くのに、JAZZの知識は要りません。「マイルス・デイヴィスとビル・エヴァンスの違いがわからない」「コルトレーンと聞いてもピンとこない」——そうした方こそ、むしろJAZZバーに向いている、と私たちは思っています。
理由はかんたんです。知識を持って行くと、人はどうしても「聴き比べ」をしてしまう。けれど、何も知らずに行くと、ただ「いまここで鳴っている音」だけを聴くことになる。それが、JAZZバーで本来味わうべき時間です。流れているレコードが誰のものなのか、それは知っても知らなくてもいい。気になったときに、マスターに尋ねれば教えてくれます。
一人で行ってもいい、誰かと行ってもいい
神戸のJAZZバーは、一人で訪れる方が驚くほど多い場所です。仕事帰りの方、旅の途中の方、家に帰る前にもう一杯だけ、と立ち寄る方。カウンターには静かに杯を傾ける人が並び、誰もが、自分の夜を、自分のペースで過ごしています。
もちろん、誰かと一緒に訪れていただいてもかまいません。ただ、会話を楽しむのなら、声の大きさにはすこしだけ気を配っていただけると嬉しいです。JAZZバーは、隣の席で別の方が「音楽そのもの」を聴いている店。賑やかすぎる会話は、その夜を少しだけ濁してしまうことがあります。逆にいえば、その配慮さえあれば、特別に身構える必要はありません。
最初の一杯は、好きなお酒で
バーに慣れていない方は、メニューを見ても何を頼んでいいかわからない、ということがあるかもしれません。けれど、JAZZバーで頼むお酒に「正解」はありません。普段ビールを飲む方ならビールを、ウイスキーが好きな方ならウイスキーを。「いつも家で飲んでいるもの」をそのまま頼んでいただいて大丈夫です。
わからなければ、「あまりバーに慣れていないのですが、何かおすすめはありますか」と聞いてみてください。多くの店で、その夜にぴったりの一杯を提案してくれるはずです。
神戸の夜、JAZZバーは「もう一杯」のための場所
神戸の夜は、坂と港の間にあります。三宮で食事をして、北野坂を少し上がる。あるいは元町で夕食を済ませて、神戸の街灯を眺めながら、ふらりとカウンターに座る。JAZZバーは、賑やかな夜の続きとして、あるいは静かに一日を閉じるための場所として、ちょうどよいリズムを持っています。
初めてのJAZZバーは、緊張するかもしれません。けれど、扉を開ければ、思っていたよりずっと自然に、夜が流れていきます。神戸でその最初の一歩を踏み出すなら、北野坂のJAZZバー「さりげなく」も、選択肢のひとつにしていただけたら嬉しいです。
お越しの前に、もし不安が残るようでしたら、「初めての方へ」 もあわせてご覧ください。